~ 校長室の窓から ~ 「卒業生への言葉」
2017.03.06
67期生の皆様、ご卒業おめでとうございます。又、保護者の皆様も心からお喜び申しあげます。おめでとうございます。
本日は皆様の卒業を祝し沢山の来賓の方々がいらして下さいましたのでご紹介いたします。まず、
上智大学 教授 サリ・アガスティン神父様
清泉小学校 校長 大西貞弘 様
清泉女学院中学高等学校 泉会 会長 緒方啓明 様、緒方知枝 様
清泉女学院中学高等学校 白水会 会長 立道伸一郎 様
ラファエラ・マリア会 会長 福永泰子 様
皆様ご多忙中にもかかわらず、ご臨席を賜り厚く御礼申し上げます。
さて67期の皆さんが、この城廻の地で入学式を迎えたのは2011年の4月でした。あのときは東日本大震災の直後で、まだまだ不安な日々が毎日続いていましたね。小学校によっては卒業式を行うこともできなかったところもあったので、幼稚園の卒園式以来12年目の卒業式という方もいらっしゃることでしょう。これまで経験したことのない巨大地震、その後東北地方沿岸を襲った巨大津波の恐ろしさ、そして想定をはるかに上回った放射線による大きな被害。まだ幼かった皆さんの記憶にもはっきりと焼き付けられた出来事だったと思います。
今でも私たちは朝礼で東日本大震災被災者のためのお祈りを続けています。そして皆さんの中には東北支援のためのボランティア活動に参加された方もいらしたと思います。これからも何らかの形で支援を続けていきましょう。
皆さんが中1の頃の思い出と言えば、どこのクラブに入ろうかと活発に色々なクラブを見学に走り回っていた姿です。「元気で積極的な方たちが入学してきたなー」という印象でした。これは高3になった今でも67期の特徴の1つだと思います。明るくて行動力があり、模擬国連や新しいイベントに果敢に挑戦していました。そして友人を大切にし、互いに協力し合い助け合おうという気持ちを持っている人が多いと先生方もおっしゃっていましたが私もその通りだと思います。
先週の木曜日に佐藤直樹神父様の司式で卒業感謝ミサが行われました。沢山の聖歌を皆で歌って67期らしいミサでした。
清泉で過ごした中高の6年間にも私たちを取り巻く社会環境は色々と変化しましたね。たとえば6年前にはわずかの普及率であったスマホは昨年10歳代の普及率94%だそうです。皆さんが清泉を卒業した後、立ち向かわなければならないこれからの社会は、今までに経験したことがない急激な変化が予想されます。
先日私が手にした本の中に、これからの時代を生きていく皆さんにも是非考えてほしいことが書かれていたのでお話ししたいと思います。
人類がこの地球上に登場して現在に至るまでに、大きな4つの革命があったそうです。
1つ目は、約7万年前に起きた認知革命。
これは私たちの祖先が学習・記憶・意思疎通の能力を発揮して他の人類種、例えばネアンデルタール人などを滅ぼしていったこと。
2つ目は、1万2千年前に起きた農業革命。
それまでは野山を駆け巡り鹿やウサギなどを追いかけていた狩猟生活から、1箇所に定住して麦や稲などを栽培する生活に変わったこと。
3つ目は、500年前に起きた科学革命。
羅針盤や火薬の発明により大航海時代が到来し、武器や大型の船を持ったヨーロッパの国は、科学革命から取り残された新大陸の原住民を征服し始めたこと。
そして4つ目が、200年前におき、歴史の本にも登場した産業革命。
蒸気機関や大量生産可能な大型機械により、人々の生活が見かけ上豊かになった 反面、新たに発明された大砲や機関銃が戦争に使われ、大量の死傷者を生み出し たこと。さらに地球全体を見渡すと大規模な環境破壊により、公害や動植物の絶 滅という現象をおこしてしまったこと。
これらの反省に基づいて現代があると言いたいところですが、現実には戦争も、環境破壊もいまだに続いていて、世界の指導者の中には核戦争も辞さぬ勢いで国民を鼓舞している国もある有様です。
では、今私たちの身の回りに革命は起きているのでしょうか。その一つは医療革命だと思います。最先端の医療技術では、病気の原因と思われる人の細胞内のDNAを組み替えて、病気そのものを起こさない人間をつくり出そうとしています。この技術の先には、病気に限らずあらゆる能力をこえた超人類を人工的につくり出すという、SF映画にでもなりそうな世界が出現するかもしれません。
これらが実現するかどうかはともかく、注目すべきは先の4つの革命は、1つ目は7万年前、2つ目は1万2千年前、3つ目は500年前、4つ目は200年前と革命から次の革命までの間隔が短くなっていることに気づきます。すると今が5つ目の革命のときかもしれないのです。
どの革命にも必ず光と影がありました。皆さんは、いま起こりつつあるかもしれない革命がはたして人類を幸福に導くのか、はたまた不幸を招くことになるのかを見極める力をこれから様々な進路先でたくさんのことを勉強し、身につけて下さい。
いよいよ今日で清泉女学院での生活は終わります。私たちは学校生活の始まりは朝のお祈り、そして終礼のお祈りで1日が終わりましたね。なかでも私が好きなお祈りは聖フランシスコの平和の祈りです。
慰められることよりも慰めることを
理解されることよりも理解することを
愛されることよりも愛することを望ませて下さい
私たちは与えることによって与えられ
許すことによって許される
この言葉をつらいときや苦しいときにとなえてみて下さい。きっと穏やかな心を取り戻せることでしょう。
皆さんには清泉で過ごした6年間で、「揺るぎない価値観」と「感動する心」、そして「自ら学ぶ姿勢」が育まれたものと信じています。そして忘れてはならない創立者 聖ラファエラ・マリアの教え「すべての人が幸せになるように 働くこと それが本当の愛」。今はわからなくても時間がたてば自分の心の中に宿っていたと気づくはずです。
これから新しい世界に一歩踏み出す皆様に神様の豊かなお恵みが注がれますようお祈りしています。

卒業生への言葉

来賓祝辞 上智大学教授 サリ・アガスティン神父様