
多くのキリスト教の学校では、「宗教」や「聖書」といった教科名をあてていますが、本校では創立以来「倫理」という教科名で授業を行っています。そこには、キリスト教を学び深めるだけでなく、世界の様々な宗教、思想、哲学に触れ、生徒一人ひとりの視野を広げてほしいという思いがあります。また同時に、変化する社会の中で「どのように生きるか」を考える授業であることから、「倫理」という教科名を冠しています。
本校の倫理の授業では、私たち一人ひとりがかけがえのない大切な存在であることに気付き、 互いに大切にし合うよう、心の成長と良心の成熟を目指します。キリスト教を中心に諸宗教、諸思想を学ぶことを通して、真理を探究し、人生の道しるべを見いだすとともに、多様性に開かれた広い視野と、多角的な視点をもとに論理的に思考する力を養います。さらに学んだこと、自ら考えたことを他者と分かち合い、伝える力を伸ばしていきます。倫理科では、生徒たちが四つの心、「祈る心」、「自己を見つめる心」、「他者を大切にする心」、「世界の人々とつながる心」を育みながら、愛と正義に基づく平和な社会の実現に貢献できる女性として巣立っていくよう願っています。
COLUMN
「自分、他者、世界」をテーマにICT機器を活用した参加型授業
倫理の時間では、全ての学年で「自分・他者・世界」をテーマにしています。また友人との関係を深めるためグループワークも多く行います。その際にはChromebookも活用します。中3では、グループで「理想の学校」の設計図を作成します。グループによっては自分たちで模型を設計したり、設計図のサイトを活用し、本格的な設計図を作成します。また世界に目を向けるため、貧困解決に取り組んでいる人物や団体を調べて発表しています。高1では、日本在住のイスラム教徒の方に協力を仰ぎ、「イスラム教の友人に日本を紹介しよう」をテーマに活動しています。他にも高2ではピカソの「ゲルニカ」を分析し、高3では「いのちのCM」作成を行います。これらの授業を通して、生徒は自己を見つめ、他者や世界へ関心を持っていきます。
学年 | テーマ | 内容 |
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中1 | キリスト教を身近なものに | 聖堂(チャペル)探検、校内聖地巡りを行います。 |
中2 | 聖書の世界に触れてみよう | 身近にある童話等から始め、聖書の物語の背景にあるメッセージを読み取ります。 |
中3 | 理想の学校建築を考えよう | グループで「理想」の学校の設計図を作成します。 |
高1 | イスラム教の友人に日本を紹介しよう | 日本の文化を調べて、宗教を越えた関わりを学びます。 |
高2 | 「世界を変える方法」を見つけよう SDGsで鎌倉市を持続可能にするプロジェクト作り |
グループワークを通して、世界を変えることに取り組む団体や個人を調べます。 身近にある社会問題をグループごとに考え、発表を行います。 |
高3 | 現代社会の課題を考えよう | グループワーク等を通して、社会の課題について考えます。 |
中学生の間は、清泉生としての基本的な態度として、祈る姿勢と他者への思いやりが自然に身につくように指導するとともに、他者から大切に育まれてきた自分のいのちの価値を知り、自己を正当に評価する自尊感情・自己肯定感を高めるように、聖書に基づいた真の愛を伝えていきます。高校では、キリスト教だけではなく諸宗教や思想史を学びながら、さまざまな価値観に触れていきます。また、知識や根拠、客観性をもって自己の考えをまとめ、他者にわかるように表現していく力を養います。
中1 | 中2 | 中3 |
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高1 | 高2 | 高3 |
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英語の授業は毎時間が小さな“異文化体験”です。教科書や副教材で基本的な力をつけながら、学んだ英語を実際に使う機会を大切にしています。また、英語の歌や動画を視聴するなどの、視聴覚教材を活用した活動を積極的に取り入れ、五感を使って英語を学べるようにしています。全学年で行っている習熟度別授業では、発話・発表の機会が多くあります。相手の発表や意見を聴き、英語で自己表現ができる生徒を育てます。中学生は年度末に、授業で発表した優秀なスピーチ、スキットなどを学年全体に発表し、共有する機会を設けています。また、Chromebookを使って、個人の学習の進度に合わせたオンライン英会話や多読プログラムを実施するなど、生徒が活発に学ぶ場となるように工夫しています。中1から高1は英語4技能を測る検定(GTEC)を毎年受け、継続的に英語力を測るとともに、自身の成長を実感する機会としています。
なお、清泉女学院はスペインにルーツがある学校であることから、高2の選択授業でスペイン語を履修することができます。よって、本校では「英語科」ではなく「外国語科」という名称を冠しています。
COLUMN
習熟度別授業
中1は入学時からSE(Standard English class)・AE(Advanced English class)・ARE(Advanced Returnees' English class)の3段階に分かれます。中2も同じ3段階に分かれますが、成績などの基準を満たすことでAE・AREへの編入が可能です。中3・高1も習熟度により3つのレベルに分けたクラス編成で授業を行っています。その最上位であるハイアドバンストクラスでは、週の半分の授業をネイティブスピーカーの教員が担当し、日本人教員が担当の授業もオールイングリッシュで進めます。教科書で登場したトピックを元に、エッセイライティング、スピーチ、ディベートなどを数多く行っています。海外出版の教科書も使い、英語の4技能の全てを、ハイレベルな環境で伸ばすことができます。他の3クラス(アドバンスト、スタンダード、ベーシック(高1の1科目のみ))は習熟度に合わせたきめ細かい指導を行っています。高2・3はそれぞれAREやハイアドバンストクラスに所属していた生徒も含めて2つのレベルに分け、大学入試も意識した授業を行います。
なお、中3・高1のハイアドバンストクラスを除き、中3以上の習熟度別クラスは学期ごとに再編成されます。
テーマ | 内容 |
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デジタル教科書・電子黒板を活用した授業 | 中学・高校の全学年において、デジタル教科書を活用した授業を行っています。スクリーンに投影して映像を見せたり、音 声の速度を変えて再生したり、フラッシュカードをランダムで表示したりと使い方は様々です。 |
“生きた”教材 | 教材のテーマをさらに発展させるために、洋楽、新聞、動画などを使用します。英語学習用に作られたものではなく、英 語話者が日常的に楽しんだり利用したりするものを積極的に授業に取り入れています。 |
English Day / English Camp | English Dayは年度末に実施する学年全体で参加する授業で、代表者がスピーチ、スキットなどを学年全体に発表し、共 有します。English Campは長期休暇中に行われるネイティブスピーカーの教員による活動型英語集中講座です。 |
オンライン英会話 | 主に中3〜高2を対象に、月に1回程度実施しています。生徒一人ひとりが英語話者と一対一で25分間会話を続けます。 これまで学んできた英語表現が伝わるかどうか確認する場となっています。 |
多読プログラム | 中3〜高1はオンライン英語多読プログラムを利用し、冊数の制限なしで英語の本を読めるようにしています。教科書の文章 を精読するのとは異なり、たくさんの文章に目を通すことで語彙力アップなどを図ります。 |
中1 | 中2 | 中3 |
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高1 | 高2・高3 | |
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『方丈記』の冒頭に「ゆく河の流れは絶えずして、またもとの水にあらず」とあります。すなわち、私たちが生きる社会は絶えず変化をしています。しかし、どんな時代においても、どんな国においても、他の人とのコミュニケーションは不可欠です。人と人とのコミュニケーションは「聞く・話す・読む・書く」のすべてが言葉を通して行われています。そして、私たちの言葉には、それを用いてきた我々の先人たちの喜び、悲しみ、痛みなどの情感や感動が集積されています。その先人たちが築き上げてきた伝統的な文化を理解・継承し、新しい文化を創造・発展させるためにも、国語の力は重要です。
国語は、様々な学問の基盤であり、自然科学の分野においても、その重要性は全く変わるものではありません。本校の国語の授業は、様々な学びを通し、国語の力を伸ばしていきます。例えば中1から古典文法を履修し、一人で古典を読む力を養います。また昨今求められる物事や情報を多角度から検討し、論理的・客観的に理解する力、そして自分の考えを表現する力を育成します。
国語の授業では様々な創作活動を行います。俳句・短歌・小説の創作を通じて、「枠組みにとらわれない自由な発想=クリエイティブシンキング」を養います。また様々な文芸コンクールに参加し、2023年には全国高校文芸コンクールで優良賞を受賞するなど、例年多くの作品が入賞しています。
多様化する大学入試の中で、思考力・判断力・表現力がより重視され、社会でも自らの頭で考え、結論を導き出し、それを伝えていく力が必要になっています。本校では、情報や分析結果をもとに検証し、結論を導き出す「ロジカルシンキング(論理的思考)」と「クリティカルシンキング(批判的思考)」を磨くことを目標に授業しています。
公立学校では高校から履修する古典文法を本校では中1から学んでいきます。現代語訳に頼らず、自分の力で古典作品を味わうことを目標にしています。また、らせん型カリキュラムを導入し、古典文法などのつまずきやすいポイントを何度も確認しながら定着を図ります。
中1 | 中2 | 中3 |
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高1 | 高2 | 高3 |
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中学の数学では、数の世界の広がりを理解し、数の概念を育てていきます。数学の土台である正確な計算力と、関数や図形などの基礎的な知識や考察する力をつけるため、こまめに計算・確認テストを行い、長期休み後もテストを行っています。また、学び合いの中で、自分の考え方を伝える力と人の考え方を理解する力を育てます。中1の2学期から習熟度別授業を行い、さらに中2から2クラス3分割でクラスごとに意欲的に学習に取り組めるようにし、論理的思考力を育てます。高2からは進路に合わせたクラス編成となります。日々の学びを通して培われる「あきらめずに最後までやり遂げる力」は「問題を乗り越える楽しさ・喜び」につながります。そして、「課題を解決する力」は「自ら道を切り拓き、未来を設計する力」につながります。数学を学ぶことによって得たそれらの力を積極的に取り入れ、「将来の主体的な生き方」につなげていくことを目指します。
中学では本校独自に編集した計算問題集「カルクロ」(スペイン語で“計算”)を使用して、数学の基礎となる計算力を養っています。計算練習を繰り返し行い、授業内で計算テストを行うことによって、定着度を確認しています。
グループで力を合わせて1つの問題に取り組み、発表する形式の授業も行っています。難問や、複数の解法があるような問題では、グループの考えをまとめる作業が重要となります。その際、Chromebookで共有したファイル上に互いに意見を出し合いながら、1つの解答を作り上げます。
数学特別講義I・II・IIIの授業では、生徒それぞれの希望する進路に合わせた大学入試対策のための演習を行っています。特に受験生が苦手とする分野の演習や記述力を高める訓練を重点的に行い、難関大学の合格を目指します。
中1 | 中2 | 中3 | |||
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高1 | 高2 | 高3 | |||
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使用教材はすべて数研出版
本校の理科は、本物を見たり触れたりして確かめながら学ぶことを大切にし、特に中学生では、実験や観察を多く取り入れた授業を展開しています。実験・観察後には、検証・考察・まとめを行い、レポートを作成することを通して、科学的思考力・表現力を身につけることを目標にしています。例えば中1では、本校の豊かな自然環境を活かし、校内に生育しているサクラ、タンポポ、シダ、コケなどの実物の観察を通じて、生物を見る目を養います。また、校内のタンポポの種類とその数、生育環境との関係を調査し考察をすることで、科学的な探究の方法を学びます。その他の中学生の実験でも、高校で学ぶ内容を取り入れながら考察していくことで、物事の本質を科学的な視点でとらえる力を養っています。高校ではより専門的に学習を進めていきます。高1では全員が物理基礎、化学基礎、生物基礎を学び、高2からはそれぞれの進路に合わせた科目を選択していきます。
中1では、ヒトのからだのつくりや動物の分類について学びます。市販されている鶏頭の水煮を解剖して脳や視神経のつくりを観察し、ヒトと比較することで、脊椎動物の生き方や進化への理解を深めます。小さなからだに隠された繊細なつくりに驚き、感動するとともに、日々の食事の中で頂いている命に思いを寄せます。
金属のイオン化傾向やダニエル電池の製作などの化学実験では、マイクロスケール実験を取り入れています。多くの試薬を必要とせず、身近な「学校の実験」で実践される省資源への工夫から、SDGsに向き合う態度を学びます。また、従来よりも少人数で実験を行うこともでき、一人ひとりが化学変化を間近で感じられます。
化学基礎では、24項目の実験の中からテーマを1つ選び、全員が英語でポスターを作成します。これは、近年みられる共通テストの英語において、ポスターセッションやスライド発表などを設定とする出題を意識したものです。教科横断的な課題を通して、文系・理系問わず化学の基本的な内容を英語で理解・表現することを目指しています。
中1 | 中2 | 中3 |
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高1 | 高2 | 高3 |
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何よりも、音楽を楽しめるように導きます。同時に「良い音色」を意識しながら、的確な音楽表現のために基礎訓練を行い、質の高い音楽を目指していきます。中1で「ハレルヤコーラス」、中2・3で『三つの聖歌』「信仰」「希望」「愛」に取り組みます。器楽ではアルトリコーダーやミュージックベルなどのほか、和楽器(箏・三味線)を一人ひとり実際に触れ演奏する授業もあります。
中1 | 中2 | 中3 |
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高1 | 高2 | 高3 |
音楽大学などを志望する生徒に向けたプログラム | ||
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中1・2では、絵画・彫刻・デザイン等の基本的な表現力を培います。中3・高1ではより高度な技術力と表現力を身につけます。例えば中3では、内容・材料などすべてオリジナルの絵本を作ります。高1では、美術史の学びから模写、透視図法の学びから平面構成を制作します。高2・3では芸大・美大を目指す生徒に向け、デッサンを中心に、受験に対応する力や将来の創作活動につながる姿勢も育んでいます。
中1 | 中2 | 中3 |
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高1 | 高2 | 高3 |
芸術・美術大学などを志望する生徒に向けたプログラム | ||
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中1・2では体つくり運動、陸上競技、体操、球技、ダンス、武道と幅広く様々な種目を行い、基本技能を学びます。中3・高1では、基本技能の向上を目指し、高2・3では、ゲームを楽しめるよう生徒自ら練習計画をたて、技術のレベルアップを図ります。ダンスではChromebookを使って客観的に演技を見ることで改善したり、サッカーや空手など様々な競技を経験したりと多彩な方法で運動に親しみます。保健の授業では、心身に科学的にアプローチし、生涯健康でいるための知識を学びます。
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生活は総合的なものなので、家族・経済や消費生活・高齢化・衣食住・環境問題など、多くの視点から考え学び、学問分野の知識を基盤に、生活に生かしていくことを目指します。将来、生活の主体者になったときの生活の仕方を考え、実践することを視野に入れて学びます。家庭分野では、調理実習や着付け、技術分野では木材加工、エネルギー変換、情報に関することなど、実践を通じて学びを深める課題内容となっています。
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高1 | 高2 | 高3 |
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現代社会は情報機器に溢れています。ICT機器を使いこなし、課題を見つけ、自らの考えや思いを上手に伝えていくコミュニケーション能力は、これからを生きていく生徒たちにとって必要不可欠な力です。授業では、実習を通してデジタル理論の理解を深めると共に、問題解決力を向上させます。また、他教科との連携をとりやすい教科の特性を活かし、教科横断型授業の展開を目指しています。
中1 | 中2 | 中3 |
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高1 | 高2 | 高3 |
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社会科
情報を正しく分析し、世界に視野を広げ、民主的・平和的社会の実現に貢献できる人を目指します
本校の社会科が育てる生徒像は、日本や世界に対する見識と他者受容・異文化理解の心を持ち、健全な批判力を身につけ、一人の主権者としていかに社会と関わり貢献するかを考える人物です。そのために、中学では基礎知識の徹底に加え、図表から正確に情報を読み取る力、多角的な視点で物事を捉える力、考察したことを正確に表現する力を身につけます。高校では社会で起きていることへの正しい知識と教養を持ち、グローバル社会で関わる様々な人のアイデンティティを尊重できるようになることを目指します。具体的に、社会科では6年間を通して「本物に触れる」「正しく理解し、考える」「発信する」機会を多く設けています。例えば、中1からChromebookを活用し、グラフや図を自らの手で作成することで読図力を養ったり、スライドを利用した発表活動がさかんに行われたりしています。また、玉縄城跡という本校の立地を生かしたフィールドワークや、現役の国会議員から直接話を聞く機会もあります。授業はグループワークも多く、コミュニケーション力や判断力、リーダーシップなど、社会科の枠を超えた幅広い能力を伸ばします。
Focus on!!
世界遺産×SDGsチャレンジ(中1~高2)
中1の地理では、年間を通して世界遺産学習に取り組みます。それぞれの世界遺産と関わる環境問題や人権問題、都市開発問題などとSDGsとを結び付け、課題解決に向けた実例や方法を探します。2023年には、世界遺産検定事務局主催のコンテストにて、2年連続で最優秀賞および優秀賞を受賞しました。
世界史9コマ劇場(中2)
夏休みの課題では、世界史に登場する偉人の中から興味のある人物を1人取り上げ、その生涯や実績を9コマで表現します。普段の授業とは違った切り口で歴史の奥深さに触れられるとともに、物事を他者に伝わりやすくまとめ、発信する力が養われます。
株式学習ゲーム(中3・高2)
金融教育の一環として「株式学習ゲーム」を導入しており、株式売買のシミュレーションから投資について学びます。ゲーム内で取引される株式は実在する会社のものであり、経済がどのように動いていくのかを学びます。
シラバス
使用教材
中学生
高校生