~ 校長室の窓から ~ 「放送朝礼のお話」
2016.06.23
今朝の放送朝礼は、外国語科の大滝先生でした。
「今日、6月23日は沖縄慰霊の日です。第二次世界大戦の沖縄戦において、日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる日です。
沖縄戦では、約9万4000人の一般住民と日米の軍人を合わせて、20万人以上が命を落としました。戦争の犠牲になった方々のために祈りを捧げるとともに、平和な世界を築いていくことに私達一人ひとりが貢献することができますように、心を込めて主の祈りを唱えましょう。」
とお祈りをした後、次のようなお話が続きました。あらためてここにご紹介します。
--------------------------------------------
おはようございます。
定期試験を来週に控え、勉強のことで頭がいっぱいの日々かと思いますが、もし皆さんが「何のために勉強しているの?」と聞かれたら何と答えるでしょうか。
自分の夢や目標に近づくため、いい大学に入るため、とりあえずやらなければならないから、あるいは成績が悪いと家で怒られるから、など答えはいろいろあるでしょう。
今朝は「学ぶ」ということに関連して、最近私が気になっている言葉を紹介したいと思います。
自分のクラスの人たちには4月に少し話したことなのですが、3月までNHKで放送されていた朝の連続テレビ小説『あさが来た』の中に出てきた言葉です。このドラマは、日本初の女子大学校、現在の日本女子大学の設立に尽力した広岡浅子の半生を描いたものです。その最終回の中で主人公が若い女性たちに向けて語った言葉に、次のようなものがありました。
「みんなが幸せになるための武器は、銃でも大砲でも悪口でもなく、『ここ』と『ここ』。
(そう言って自分の頭と胸を指し示します。)
(それは)『人の気持ちを慮ることのできる優秀な頭脳』と『やわらかい心』。それさえあればそれで十分。」
『人の気持ちを慮る』ということと『優秀な頭脳』は一見直接的な関係がないようにも思えますが、実は、人の気持ちをいろいろと考えることができる、という土台がなければ、どんなに優秀な頭脳も意味がないのではないか、ということに改めて気づかされました。
単に知識を積み重ねればよいのではなく、その知識を人のため、社会のため、さらには世界のためにどう使っていくことができるかを考えていくことが大切です。
そして、この学校で学んでいる皆さんは、倫理の授業だけでなく、日々のあらゆることを通して、そのことを考えるチャンスに恵まれています。ぜひそのチャンスを生かして、真の知性とやわらかい心を備えた女性になって下さい。心がやわらかい人は本当の意味で強い人だと思います。
そしてもう一つ、皆さんの大先輩の言葉を紹介させてください。
『卒業生からのメッセージ』の2巻目(Vol.2 p.7)に載っている酒井三貴子さんという方の言葉です。酒井さんは、東ティモールにいらっしゃるシスター中村のお姉様です。読んでみたいと思います。
「今の世の中、すぐに答えが欲しいですよね。すぐ結果に出すように求められる。しかしそうではなく、私のように生き永らえることができれば、70才近くなっても中学・高校で教わったことが活かせるのです。学生時代は特別勉強ができたわけではないですが、今でも英語の本を読んだりと、勉強ひとつとっても、学生生活だけで終わることはないと思います。先生方がしっかりと種をまいてくださったものは、いつ、どこで芽が出るかわかりません。人生の中で、与えたものと、受けたものが実るときがいつかはあると思います。『今これをする必要はない』『今でなくていい』などを思わずに、ぜひ遠くを見つめて、人生を豊かにする教育を受けて欲しいです。」
というものです。
今目の前にあることはずっと先の自分につながっている、そんなことを頭の片隅に置きながら、日々のことに取り組んでいってもらえたら嬉しく思います。