~ 校長室の窓から ~ 「入学式の言葉」
2016.04.07
新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。皆さんのご入学を皆で心からお待ちしておりました。
はじめに皆さんの入学をお祝いして来校してくださった来賓の皆様をご紹介いたします。
学校法人清泉女学院 理事長 Sr. 塩谷惇子 様
泉会 会長 緒方 啓明 様、緒方 知枝 様
ラファエラ・マリア会 会長 福永 泰子 様
本日は御多忙中にもかかわらずご参列いただき厚く御礼申し上げます。
また、保護者の皆様には、お子様の御入学を心からお喜び申し上げます。
さて、新入生の皆さんは、いよいよ今日から清泉女学院の一員となりました。
皆さんは清泉女学院の72期生になります。
清泉女学院のルーツはスペインの小さな町から始まります。創立者の聖ラファエラ・マリアは、スペイン南部コルドバから少し離れたペドロアバドという小さな町でお生まれになりました。私は10年ほど前に、かねてから行きたいと思っていたこのペドロアバドの地を訪ねることができました。夕暮れ迫るこの町外れに、静かにたたずむラファエラ・マリア様の立像を拝見したとき何とも言えぬ感動を覚えたのを今でも思い出します。ここから約1万キロ以上も離れた日本の地でまかれた種が実を結び、今こうして私たちが出会えたことを考えると何か運命的なものを感じます。
つい最近、「東京人」という月刊誌が「清泉教育のあゆみ」という4月増刊号として清泉を特集した記事を掲載して出版しました。すでにお読みになった方もいらっしゃると思いますが、その本にはラファエラ・マリアの志を引き継いで来日したシスター方により、清泉がどのようにしてカトリック教育のあゆみを続けてきたのかが書かれています。今、日本の教育界が特に力を注ごうとしているのが「グローバル」そして「アクティブラーニング」です。でも皆さんが入学されたこの清泉は創立当初からグローバルであり、アクティブラーニングを実践してきた学校なのです。ですから皆さんがこれから6年間積極的、意欲的に学習に取り組めばグローバルな知識を吸収して国際的な活躍ができる人材としての基礎が完成できることになります。
さて、新入生の皆さん、6年間視野を幅広くとり、いろいろなことにチャレンジしましょう。まずは学校の授業を大切にしましょう。
一日一日の授業の積み重ねが基盤となり、大きな成果を生み出すことにつながります。また、どの教科・科目も1つとして無駄なものはありませんし、学習以外でもクラブ活動や委員会活動そしてボランティア活動に積極的に取り組みましょう。これらの経験を積み重ねていくことは皆さんにとって必ず有意義であることに気づくでしょう。
これから自分がどのような道を進めばよいのか、また自分らしく生きるということがどのようなことなのかを考える時間です。慌てずにじっくり取り組んでいきましょう。
清泉の卒業生は現在様々な分野で活躍しています。これら幅広い分野で活動できるのも清泉の教育によるものだと思います。でも進む道はちがっていても、誠実で優しく、まわりの人への思いやりを持っている方が多いのは聖ラファエラ・マリアをとおして培われたカトリック教育のたまものと自負しています。
ところで、今年度の学校目標はラテン語の「SURSUM CORDA(スルスムコルダ)」です。日本語に訳すと「心を高く上げよ」となります。ちなみに学校の中にもこの「SURSUM CORDA」が書かれているところがあります。ぜひ探してみて下さい。又、長崎に行く機会がありましたら西坂公園の26聖人殉教の地をぜひ訪ねてみて下さい。聖人のレリーフの裏側に、ほとんどの気づく人はいない「SURSUM CORDA」の文字が刻まれています。
新入生の皆さんは中学生になった今、新しく自分の目標をたて、それに向かって自分自身をレベルアップしてください。1年後、その目標が達成できたか反省し、達成できたらさらに高い目標を設定して自分自身を高めていってください。それが「SURSUM CORDA」です。
最後に、とてもすてきな詩を皆さんに紹介します。
[ 足あと ]
ある夜、わたしは夢を見た
神様と二人並んで わたしは砂浜を歩いていた
砂の上に二組の足あとが見えていた
一つは神様の
そして一つはわたしのだった
しかし最後にわたしが振り返って見たとき
ところどころで
足あとが一組だけしか見えなかった
「 私の愛する子供よ 私は けっして
お前のそばを離れたことはない
お前がもっとも苦しんでいたとき
砂の上に一組の足あとしかなかったのは
私がお前を抱いていたからなんだよ 」
安心して下さい。私たちはいつも一人ではないのです。
皆さんにとって、これからの6年間が神様の豊かなお恵み中で、多くの喜びを皆と分かち合う学校生活となりますようお祈りして、
お祝いの言葉とさせていただきます。

入学式の様子。講堂にて。

ペドロアバドの町にたたずむ聖ラファエラ・マリア像。車窓から。