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~ 校長室の窓から ~ 「66期卒業生へのことば」

2016.03.08

66期生の皆様、ご卒業おめでとうございます。又、本日は皆様の卒業を祝し沢山の来賓の方々がいらして下さいましたのでご紹介いたします。まず、

上智大学 神学部教授 増田祐志 神父 様
清泉小学校 校長 斎藤一子 様
清泉女学院中学高等学校泉会 会長 桜井理史 様
清泉女学院中学高等学校白水会 会長 立道伸一郎 様
ラファエラマリア会 会長 福永泰子 様

皆様 ご多忙中にもかかわらず、ご臨席を賜り厚く御礼申し上げます。
又、保護者の皆様も心からお喜び申しあげます。おめでとうございます。

昨日は思いがけず大雨警報が出たため、高校生のみの送別会になってしまいましたが、それなりに楽しい送別会ができて何よりでした。

さて66期の皆さんが初めて清泉女学院の門をくぐったのは今から6年前、2010年4月でした。緊張した面持ちの中1を在校生が入学式でロッシーニの「希望」を合唱してお迎え下さいましたね。

それから瞬く間に年月が過ぎ去ったわけですが、在学中に起きた出来事で最も忘れられないのは2011年3月11日に起きた東日本大震災でしょう。当時中1だった皆さんは、この日論文発表会をこの講堂で聞いて教室に戻ったところでした。さぞかし不安な時間を過ごされたことでしょう。これまでに経験したことのない大災害に遭遇された方々を目の当たりにし、人間の命のはかなさ、そして残された私たちができることは何かと、日本中で沢山の人が考えたときでした。そして私たちの住んでいる日本という国の将来が安穏としたものではないことを痛感したときでもありました。

それから年月が経ち、皆さんは高校生になりクラブ活動や委員会などで後輩たちを指導していく立場になりましたね。私の皆さんへの印象は、「優しい」「思いやりがある」「人なつっこい」でも石橋をたたいて、たたいてやっと渡るタイプの方が多いなと感じることがありました。

これから世の中がいろいろと変化して行きます。まず、来年度夏から選挙権が18歳以上の方に与えられます。又、2020年には東京オリンピックが東京で開かれ、さらに同じ年、大学入試センター試験制度に代わり新テストが実施され大幅な入試改革が行われる予定になっています。「4年先の試験なんて、もう私たちには関係ないわ」とお思いかもしれませんが、実はそうでもないのです。

何故このような改革に踏み切ったのでしょうか。それはこれからの日本を背負っていく若者に今までと同じ教育をしていたのではだめだという危機感を持ったからでしょう。それはグローバル化が進むこれからの社会では「正解のない問に向き合う力」が必要になると考えたからです。蓄えた知識を色々な場面で活用できるのが本当に学力だということですね。

最近、しばしばニュースで取り上げられているのでご存知とは思いますが、日本経済を牽引してきた複数の大手製造業が経営危機に陥っています。欧米の著名な格付け会社は日本の長期格付けをどんどん下げて、きびしい評価をつけています。残念ながら技術立国日本!は過去の話になろうとしています。

ある大手の会社は新卒採用者の8割が外国人で、日本人は2割に過ぎないという驚くべき事態になっています。その理由は将来、国内の需要増加が見込めず、海外への進出が不可欠という判断がはたらいたからです。これが現実です。ですから、これからの皆さんにとって、これらの変化に対応できる「生きる力」が必要です。「生きる力」とは何でしょうか。心身共に健康な体、豊かな人間性、そして社会に貢献できる柔軟な知力を持つことだと思います。

自分たちにそのような力があるのかしらと心配になりましたか。安心して下さい。本校の創立者聖ラファエラマリアは「すべての人が幸せになるように働くこと、それが本当の愛」という言葉を残されたのはご存知でしょう。

この精神のもとで学校生活を過ごされた皆さんはこの6年の間、この清泉でしっかりとこの生きる力を培ったはずです。もっと自信を持って、どんな出来事に遭遇しても自分で考え、判断し、皆さんの力を惜しみなくまわりの人のために尽くせるような女性になってください。

ロッシーニの「希望」で迎えられた皆さんは、在校生の「愛」で清泉を巣立っていかれます。
「愛にみてる我が主よ 汝が御手に抱かれて 友となりし我らは苦しみを分かち合わん。」
この歌詞にあるよう、清泉でめぐり会った私たちは6年の間に楽しかったこと苦しかったことを分かち合ってきました。在学中に気づかなかった清泉スピリットは、時を経てから自分の心の中に宿っていたことに気づくはずです。

私にとっても教師として66期の皆さんと一緒に過ごせた日々は楽しく貴重な時でした。いつまでも皆さんの幸せを心からお祈りしています。

以上をもちまして「66期卒業生への言葉」とさせていただきます。

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