~ 校長室の窓から ~ 「2016年、スタート!」
2016.01.08
新しい年の放送朝礼のお話です。
「 明けましておめでとうございます。
皆さんにとって今年が健康で充実した楽しい年であるようにお祈りしています。
新しい年を迎え、「今年は〇〇をしよう!」と新たな決意や誓いをたてましたか?
まだの方はまだ間に合いますから是非たてましょう。
そこで今日は新年に当たりモチベーションのお話をしたいと思います。
モチベーションは辞書を引くと「動機付け」と出てきます。
しかし実際には「物事を成し遂げようとする強い気持ち」として日常的には使われていると思います。
皆さんは今年たてた目標に対してどれだけ強い意志でそれらを成し遂げようとしているのでしょうか。
ここに一人のモチベーションの高さでは他に類を見ない、私が尊敬してやまない大好きな科学者のお話をします。
でも私はその人に会って話を聞いたりしたわけではないので伝えられた内容から推測して紹介します。
その人の名はマイケル・ファラデーです。
彼は18世紀後半から19世紀かけて電気や化学の研究で多くの実績を残したイギリスの自然哲学者です。
ファラデーの著書には有名な「ろうそくの科学」という本があります。
すでに読まれた方もいらっしゃると思いますし、高2の方々は化学の授業で「ファラデーの法則」を勉強したでしょう?
この人の研究成果は人類にとって実に重要かつ有益で、かのアインシュタインも自室の壁にニュートン、マックスウェル
そしてこのファラデーの肖像画を飾っていたほどです。
しかし彼の偉大さはこの研究成果もさることながら少年期からの学習過程にあります。
当時の自然哲学者の多くは中流家庭以上の出身者で、幼少期から学習環境に比較的恵まれて成長した人がほとんどでした。
それに対しファラデーは週に1斤のパンしか口にできないほどの貧しい家庭で育ち、学校教育はまったく受けられずに
14歳で製本業を営む店に奉公人として働きにでたのです。
ここでモチベーションの低い人間なら、ただ製本の仕事に専念して一生を終えるところですが、
ファラデーはちがっていました。
製本するかたわら本の中身に興味を抱き、特に自然科学の本を次々と読破し、20歳になる頃には
高度な学校教育を受けた人と同じかそれ以上の知識を蓄えていました。
折しも、当時の著名な化学者でイギリスの王立化学研究所所長のデービーという人の講演会に参加して感銘を受け、
その後たびたび講演を聞きに行きました。
その講演会で聴いた内容を300ページにわたるノートにまとめてデービーに送り、それが評価され
デービーの助手としての仕事が舞い込んできたのです。
その後の彼の業績は、今のノーベル賞3個分にも匹敵するのではないかと私は思っています。
やはりその成果の出発点は自然現象に関心を持ち、それを探究しようというモチベーションの高さが、
きびしい学習環境にもめげずに彼をそこまで押し上げてきた原動力となっていたのでしょう。
今の皆さんは14歳だったファラデーの学習環境と比較したらかなり恵まれていると思います。
しかし中には自分の目標を実現できるかどうか不安を抱えている人もいるかもしれません。
でも安心してください。高いモチベーションさえ失わなければきっと未来は開けますよ。
さらに今年度の学校目標も「スルスムコルダ(心を高くあげよ)」でしたね。
この一年、もしかすると苦しく困難な出来事に遭遇するかもしれません。
そんなときこの言葉を思い出し、モチベーションを高く持ち困難をのりこえ新たな目標にチャレンジして下さい。 」